乱婚とは19世紀後半の 《社会・結婚・歴史》
社会進化論者により想定された、動物的な、いかなる近親相姦禁忌も伴わない乱交的な性関係のこと。
人類のもっとも原初的な婚姻形態と考えられた。
この、一般に原始乱婚制説とよばれるものは、まず古代法の研究家により提出された。
スイスのバッハオーフェンは、その著書『母権論』のなかで、人類原初期においては原始乱婚制であり、父親が特定できないため、母親と子供の関係のみが重要であり、母権的であったと論じた。
このバッハオーフェンの主張は、イギリスのマクレナンがその著書『原始婚姻』のなかで取り上げ、発展・継承したが、原始乱婚制説をさらに有名なものにしたのはアメリカのモルガンである。
彼は世界各地の諸民族の親族名称体系の研究を通して、人類社会の発展の図式を描こうと試みた。
そして、その著書『古代社会』のなかで、人類の婚姻および家族制度の発展を五段階に分け、その第一段階である血縁家族に先行するのが原始乱婚制であるとした。
このモルガンの主張は、当時大きな反響をよび、エンゲルスがその著書『家族、私有財産および国家の起原』のなかで取り上げ、原始乱婚制から原始共産制を推定するに及んで、さらに有名なものとなった。
しかし、原始乱婚制は、諸民族の間にみられる宗教的売淫慣行や祭礼における性的乱交などがその遺制、残存であるとして、単に推定されたものにすぎず、実証性に乏しかった。
20世紀に入り、人類学的現地調査に基づく婚姻制度の研究が進むにつれて、原始乱婚制を推定する根拠は次々に否定されてゆき、また、いわゆる未開民族の研究から人類の原初的状態を推定するという研究方法自体にも疑問が投げかけられるようになって、原始乱婚制説はしだいに消滅していった。
また他方では、霊長類社会に関する研究が進み、一部の霊長類には、人間の家族に相当するようなものがみられることが明らかになって、動物的な性的乱交という概念自体も疑わしいものとされるようになってきた。
単なる性関係と、社会的規範に基づいた、さまざまな権利・義務を伴う婚姻とを区別する現代の人類学においては、過去のいかなる人間社会にも乱婚の事実は認められていない。
人類のもっとも原初的な婚姻形態と考えられた。
この、一般に原始乱婚制説とよばれるものは、まず古代法の研究家により提出された。
スイスのバッハオーフェンは、その著書『母権論』のなかで、人類原初期においては原始乱婚制であり、父親が特定できないため、母親と子供の関係のみが重要であり、母権的であったと論じた。
このバッハオーフェンの主張は、イギリスのマクレナンがその著書『原始婚姻』のなかで取り上げ、発展・継承したが、原始乱婚制説をさらに有名なものにしたのはアメリカのモルガンである。
彼は世界各地の諸民族の親族名称体系の研究を通して、人類社会の発展の図式を描こうと試みた。
そして、その著書『古代社会』のなかで、人類の婚姻および家族制度の発展を五段階に分け、その第一段階である血縁家族に先行するのが原始乱婚制であるとした。
このモルガンの主張は、当時大きな反響をよび、エンゲルスがその著書『家族、私有財産および国家の起原』のなかで取り上げ、原始乱婚制から原始共産制を推定するに及んで、さらに有名なものとなった。
しかし、原始乱婚制は、諸民族の間にみられる宗教的売淫慣行や祭礼における性的乱交などがその遺制、残存であるとして、単に推定されたものにすぎず、実証性に乏しかった。
20世紀に入り、人類学的現地調査に基づく婚姻制度の研究が進むにつれて、原始乱婚制を推定する根拠は次々に否定されてゆき、また、いわゆる未開民族の研究から人類の原初的状態を推定するという研究方法自体にも疑問が投げかけられるようになって、原始乱婚制説はしだいに消滅していった。
また他方では、霊長類社会に関する研究が進み、一部の霊長類には、人間の家族に相当するようなものがみられることが明らかになって、動物的な性的乱交という概念自体も疑わしいものとされるようになってきた。
単なる性関係と、社会的規範に基づいた、さまざまな権利・義務を伴う婚姻とを区別する現代の人類学においては、過去のいかなる人間社会にも乱婚の事実は認められていない。
update:2010年02月25日
